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力投する札幌新川の杉原遥陽投手=2025年7月11日午後3時51分、札幌円山、太田悠斗撮影

(11日、第107回全国高校野球選手権南北海道大会1回戦 苫小牧中央5―0札幌新川)

 初回は緊張から制球が定まらず、3点を奪われた。札幌新川の杉原遥陽投手(3年)は、初回は忘れようと心を落ち着かせた。二回からは打たせてとる投球に切り替え、スコアボードにゼロを並べた。

 しかし、七回にピンチが訪れた。1点追加点を奪われ、さらに一、二塁に走者。杉原投手は昨夏の記憶が頭をよぎった。エースとして登板したが、1点を追う八回に3失点して負けた。緊張で気力が持たず、球が浮いた。

 そのとき、スタンドから「お前ならできる」と叫ぶ声が聞こえた。杉原投手はハッとした。

 試合前、宮崎純也監督から「緊張したらスタンドを見てごらん」とアドバイスを受けていた。三塁側スタンドは同級生や卒業生たちで埋まっていた。「こんなにも応援に来てくれていたんだ」

 仲間を信じて打たせようと投じた球はレフトフライに。最少失点でピンチを切り抜けた。

 先制は許したが試合はつくった。宮崎監督は「崩れずによく切り替えてくれた」とエースをねぎらった。

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